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「いいか、まき、そんな生き方して、お前の息子が喜ぶ訳無い。
まきは自分のために生きなきゃ、意味がないんだよ。
忘れる事なんかできないんだから、せめて自分の為に生きる……、
そうじゃないと、後にあの世行った時、息子さんだって、納得しないよ……」
でも、やっぱり、無理だ………。 だって、普通のお母さんをしてあげられなかった………。
「前の男の言葉なんか忘れろ……、そんな事言う意味が判らない。
生きる意味のない人間なんかいない。
まきは、俺のものだから、二度と、そんな言葉吐いたら、ただじゃおかない……」
亮を殺った奴らも、生きる意味がある?
でも、確かにそうかもしれない……。
生きてる限り、真実が明かされる時が来るかもしれない。 確かに、未来は何が起きるか、判らない……。
電話を切ってからも、涙が止まらなかった。
こんな話、知り合ったばかりで………、
でも……、会った事ないし、これから先も会えるかどうか判らないのに………。
なんか、見える……ご主人様が、そこにいる、気がした。
ずっと、暗闇の中にいて、誰の事も見えてなかった……、 体を重ねた相手さえ、見えて無かった。
ご主人様は、まきの、暗闇の心に、明かりを点してくれた、たった一人の人……、なのかもしれない。
暗闇に点し注いだ一筋の光……、
でも、それも、幻かもしれない。
幻、でもいい……。
縋り付きたかった。
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