修羅場(ひろ美編)

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そうよ……、私に慰謝料請求するのも、変だわ……。   だって、別に、智昭を奥さんから奪う訳じゃないのに。  ……、精神的苦痛を与えたから……?   あたしだって、精神的、肉体的苦痛を与えられたんだ……。   払う必要なんて、ない。   こんなの、送り付けてくれた、お陰でね……。   写真を破ろうとした。   聡が近付き、それを阻止しようとした。   冷めた目で、聡を見上げる……。   「何するんだよ……!」   「証拠として、持っておきたいの……?!   だったら………」   ひろ美は、ホテルに置いてある、メモ用紙と、ペンを持ってきて、聡の前に置いた。   「今、さっき、貴方が私にやった事を、ここに書いて……。  全部、洗いざらい……!」   そして、自分の携帯をカメラ画面にして、左頬、聡が殴った場所を、いろんな角度で、撮影した。   「おれ、字、下手だから………」   揉み消すつもり……?   「読めればいいんだから、書いてよ!ここまでやっておいて、自分は何もしてない、て顔するつもりなの……?  自分は被害者だとでも言い張るつもり……?!」   「そうじゃないけど………」   やっと書き始めた。   ……自分は、妻、ひろ美を、拳で殴りました………… 「違うでしょ……何回も、でしょ……!」   渋々、その通りに書いて、私をレイプした事も書かせた。   「サインして……」   私は、手紙と写真を、封筒にしまって、聡が書いたメモ用紙を、受け取った。   「貴方が、それを証拠でもってるなら、あたしはこれ、持ってるから。   いくら不倫した、とはいえ、妻に、何をしてもいい訳ないでしょ。  ………、言っておくけど、あんたなんか、夫でもなんでもない……。子供がいるから、ちゃんと給料は入れてもらうけど……、  あたしには一切触れないで。   今度、こんな事があったら、あたし、出ていくから……」
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