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「ひろ美、ひろ美……」
「ママぁ、ママ……、いやだ、ママが死んじゃう……!」
「大丈夫だ。祐輔……
ママは大丈夫だから……!」
祐輔を宥めながら、ひろ美の体を揺り動かす…。
「う………っ、!」
凄い耳鳴り、吐き気、目眩と共に、意識を取り戻した……。
軽く、仮死状態に落ちてたようだ……。
「ママ……」
「祐輔……、大丈夫だよ。 トイレで起きたの?」
私は、ふらつき、頭を抱えながら、祐輔を部屋に連れていき、一緒に寝た。
夫とは、一言も口を聞かなかった。
翌日、朝、お弁当のおかずが足りない事に気付き、コンピニへ買い物へ行った。
警戒しないとならないけど、智昭にメールした。
「今、電話できる?」
すぐに、着信が入った。
「どうした?昨日、大丈夫だった?」
「首絞められた……」
「本当に……?! 大丈夫か……ひろ美……」
「ごめん……智昭、一緒にはなれない……」
電話を切った。
私が、我慢するしかないんだ……やっぱり、子供が可哀相……。
祐輔、あんな所、見せちゃってごめんね……。
ごめんなさい。智昭……
(あたしはやっぱ、籠の中に閉じ込められた、鳥でしかないんだわ……)
家に帰ると、夫の聡が、仕事の支度をしていた。
(とっくに出掛けたと思ったのに……)
「おはよう……」
返答せずに台所へ向かった。
聡が近づく気配……。
体が拒否をする、震えているのが判る。
触ろうとしている……。
「もう、智昭とは会わない……。でも、もう二度と……、
私に触れないで……!」
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