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「おい!」
「サービスだろ、サービス。ベットの中で震えてるガキがいるかも知れないじゃないかよ」
「馬鹿を言え。奴に奴の妻、そのガキ2匹にメイドが一人。数はあってる」
「へいへい。お説教は後にして、さっさと火放ってズラかろうぜ」
侵入者は知らなかった。
運の悪いメイドの一人息子が、メイドを迎えに来て待っていたことを。
「……そうだな。お前は一階に油を撒いて火を付けておけ。私は、少し探し物がある」
「精々、派手に燃えてもらうとしましょうか」
侵入者はそのまま壊れたドアを乗り越え、特に会話することもなく、各々の作業に取り掛かった。
侵入者が部屋を去り、死の危険から逃れた少年は、未だにベット下から動くことなく、未だ手の痛みと恐怖に身を強張らせていた。
(痛い痛い痛いよう!! 助けて父様! 助けてよ母様!!)
無慈悲にも、少年の声は両親に届くことはない。
そのことを知らない少年は、心の底から叫び続ける。
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