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アヤカはそのとき涙があまり出ず、
自分は母の死をあまり悲しんでいないのか
と問い詰めたくなるような気分になった。
そんなことを考えながら呆然としていたら、父がその部屋に入ってきた。
父のまわりには2人の黒いスーツに黒いサングラスをした人達がいた。
いわゆるSPというやつだろうか。
アヤカの父「外で待っててくれないか」
父がぼそっと黒服たちに言った。
黒服たちはおとなしく出ていった。
父はアヤカのほうに向き直り、
アヤカの父「久しぶりだな、アヤカ
元気だったか?」
どうにかならないものだろうか、この当たり前の挨拶。
単身赴任をしなくて済むように家族で引っ越してきたのに、ここ最近父は帰ってきていなかった。
そしてこの挨拶。
一言目に言うことがこれしかないのだろうか。
これでいいのだろうか。
アヤカには不満だった。
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