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自己嫌悪に陥りながらも、失恋したショックの涙は止まらない。
自分でも、どのくらい教室で泣いているのか、分からなくなっていた。
私は絶対に人前で泣かない。これが私のプライド。
私の泣き顔を見たことがあるのは、私の両親だけ。
最後に見せたのは、私が小学生のときくらい…かな。
そんな私のプライドを傷つける出来事が、起こった。
それも、失恋したその日。
「誰かまだいるのか?」
誰かが教室の扉を開けて声を掛けてきた。私は涙を隠そうと必死だった。
机の陰に隠れていた私を、声の主はまだ見つけてないみたいだ。
私はばれないように、息を殺していた。
なのに、声の主はズカズカと教室へ入ってきた。
「窓開けっ放しじゃん」
春風が入ってきていた窓の隙間を、声の主が静かに閉じた。
私は、その声の主の姿を目でとらえた。
そして、目が合った。
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