1888年8月31日~11月9日

2/4
前へ
/54ページ
次へ
 1888年 8月31日から11月9日の二ヶ月の間に少なくとも五人をバラバラ殺人にした、連続猟奇殺人犯。  バラバラ殺人の五人の被害者、売春婦はメスのような鋭利な刃物で喉を掻き切られて特定の臓器を摘出されていた。  切り裂きジャックは未だに捕まっていない、生きているか死んでいるかもわからない。  ――真相は幻想の中に、闇の中に消えていったのだ。    ロンドンの裏路地を歩く一人の少女。伸ばし放題の髪は手入れしていないのかボサボサ。しかもロンドンには不釣り合いの格好をしている為に裏路地にたむろう男達は彼女に注目していた。  マフラー、スカート、ニーソックス、ジャンパー。明らかに不釣り合い過ぎて目立ちすぎる。 両手はジャンパーの両ポケットに入れて気だるそうに少女は裏路地の奥に進んでいく。裏路地のさらに奥にある一軒の店が少女の家である。 「おぅ、嬢ちゃん。こんな場所にいたら……変なオジチャンに絡まれちまうぜー。イヒャヒャヒャッ!」  アルコール中毒、薬物中毒。完全に男とは思えない生きる肉塊にしか少女は見えなかった。理解できない言葉を吐き散らすのが癪にさわる、少女は肉塊を無視して先に進もうとするが肉塊が少女の腕を掴んできた。 「待てよぉお……あが、あががががが!?」  肉塊の目から上の部分、脳と皮膚が一瞬でミンチへと変わり。肉塊は壊れたラジカセのように言葉を繰り返しながら倒れた。少女はメスのような鋭利な刃物を握りながら、肉塊など気にせず進む。 (不味い)  飛び散った血液を一舐め、しかしアルコール中毒に薬物中毒の血は相当不味いのであった。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加