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「率直に申し上げると……私の力になっていただけませんか?」
「お前の下僕になれと?」
言い方を悪くしたらその通りです、女性は微笑を浮かべたままそう返してきた。ジャックには金髪の女性がとても異質な存在に見えていた。有り得ない登場の仕方、思考が読めない考え。相手の事を脅迫してからお願いをする。
ジャックは小さく息をしてから女性に対してこう言い返す。
「くそ喰らえ、私は私の物だ」
女性はきょとんと呆然とした後に、微笑とはちがう笑顔を浮かべて笑う。それがジャックにとってはまた予想外で苛々が募る。
「アッハッハッ! それでこそロンドンを震撼させる貴女だわ、そりゃそうよね。貴女は一匹狼なんだからね」
女性は一頻り笑ってから腹を抑えながら必死に言葉を紡ぎ出す。
「なら、違う事を伝えるわ。貴女はこのままじゃ捕まるしかないじゃない、なら私が住む世界に招待したいのだけど?」
「私が……住む世界?」
「えぇ、私達の方がが正しいのかもしれないわね……幻想になった者が集う場所、“幻想郷”によ」
物語の始まりは唐突に、犯罪の終末は完結する。
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