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抜け出せない悪循環の迷宮。ジャックは静かに目を閉じて瞑想を始める。頭の中の思考を全て無にして、自分以外の全ての気配を感じるように。そうするとジャックは何かに気付いて目を開けた。
(っ、誰かいるな。こちらを見てる気がする……一人じゃない、複数いる)
見えずとも気配だけ解ればジャックにとっては迷宮の出口を見つけたも同然である。静かに立ち上がり、メスのような鋭利な刃物を握る。
――ゾワッ!!
三匹の妖精は悪戯に成功していることに対して楽しげな表情で笑っていたが。ジャックが立ち上がり、見えない筈の三匹の方を向いた刹那、悪寒が走り三匹から笑みが消えた。まるで首筋に鎌を突き付けられて、今にも首を斬られ落とされそうな不安と恐怖。
「三つ数えてやる。その間に森の出口を教えろ……一つ、二つ」
『こ、この先を真っ直ぐいけば湖に出ます!』
『そしたら川に沿って歩けば人里につきます!』
『お助けぇえ!』
(……あ、逃げて行っちゃった)
ほんの少しだけ脅しをいれてみたら、三匹は能力を解除して一目散に森の中へ逃げていってしまった。ジャックは止める気にもなれないので、さっきの三匹の言葉の通りにまた歩き始めるのだった。
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