破壊「閉じ篭る日々」

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「あっ……」 不意に、声を漏らす。 眺めていた風景に見覚えのある光が横に流れていった。 「――――!!」 どこからか遠くから声が聞こえる。 妙に伝法な口調でお気楽そうで、明るい声。 ――この声……聞き覚えがある……。 ふと浮かんだ。 黒と白の魔法使いの少女。 「……魔理沙、さん?」 呟いた声は、余りにも小さかった。 ――それは、姉を打ち破ったという人間がいると噂を聞いたのが始まり。 好奇心からなるものに過ぎなかった。 とても暗い……紅魔館地下に永い時を経て少女は地上に舞い降りた。 ――フランドール・スカーレット それが彼女の名前だ。 四百九十五年、表に出ることは無く、人間とはどのような姿をしているのか知識に無かった。 彼女は、姉をも遥かに凌駕する破壊の能力を持っている。 幼さ故に加減が出来ず、地下に幽閉されていた、と言っても過言では無かった。 目の前に出てくる食料……人間は皆原型としては姿を出さなかった。 ケーキ、紅茶、様々に形を変えて咲夜から渡されていた。 人間の形は全くと言っても良い位知り得ることは無かった。 だからだろう、彼女が表に出たのは。 人間はどこに居るのだろう? 最初のきっかけは頭に浮かんだこの疑問。 そして、それに出会った。 ――霧雨魔理沙 それが始めに出会った人間の名前。 「コイン一個で遊んであげる」 フランはそう言った。 魔理沙は答える。 「人の命ひとつ買えやしないぜ」 「あなたがコンティニュー出来ないのさ!!」
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