破壊「閉じ篭る日々」

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幻想郷では、「弾幕ごっこ」という遊びがある。 文字道理、と説明すると訳が分からない。 弾幕とは弾丸の幕、つまりは一種の戦いである。 個々それぞれに能力があり、その能力を使って戦う遊び。 それを魔理沙とフランはしているのだ。 ―― 「禁弾「カタディオプトリック」!!」 大きな弾を壁の反射を利用して四方八方にばら撒く。 ちちちち……と音がしながらも魔理沙はすいすいと軽快にかわしていく。 「弾幕が薄いぜーっ!」 「なっ……!?」 「行っけえ!!……恋符「マスタースパーク」」 直線に薙いだその光線はフランの弾幕を無に還していく。 羽を掠めた、マスタースパークの風圧に耐え切れずフランは吹き飛ぶ。 「っ……あっ!?」 「とどめだぜ!」 箒を上に振りかざした。 「禁忌「レーヴァテイン」」 とっさの判断で炎の剣を発現 させた。 ――勝った……? フランは笑う。 「……にっ」 魔理沙も笑う。 周囲が大爆発に包まれた。 「痛つつつ……」 魔理沙は吹き飛ばされた。 フランも同様にだ。 「どうした、もう終わりか?」 「そっちこそ、息が上がってるじゃない」 「お互い様だぜ」 戦いの終わり方、派手に終わらせる事。 弾幕ごっこの基本だ。 お互い、持てる全てを出した。 と、なれば最後はひとつ。 「最後だぁ!!魔符「スターダストレヴァリエ」」 「QED「495年の波紋」!!」 ◆◆◆ ――あの時の感覚は未だに残ってる。 楽しかった、もう一度したい。 浮かんでは消え、切なさが残る。 「う……ぅ……」 涙が溢れる。 止め処無く願う程、比例するかの様に溢れる。 「魔理沙……さん……」 「呼んだか?」 「――!?」 開いた窓から風が吹いた。
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