破壊「閉じ篭る日々」

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「呼んだかえ? 妹君?」 真っ黒の帽子を少し上に上げてフランを覗き込む。 そしてお気楽な口調。 そこに霧雨魔理沙は居る。 「魔理沙さん……どうして……」 「ん……? 何でここに居るのかって?」 こくり……とフランは小さく頷く。 「パチュリー知ってっか? 図書館に用があんだけど、門番の中国が何故か起きててよ……」 魔理沙は大きく手を振りながらフランに経歴を説明している。 大図書館の本を取りに(盗みに)来て門番の美鈴に見つかった事。 時には小さな八卦炉を構えたり、冗談を混ぜながら適度に噛み砕いて面白可笑しく話していく。 自然と、頬が緩んできた。 「お、やっと泣き止んだか」 「はっ……!?」 指摘されて気付いた。 顔が真っ赤に染まり、あたふたとしてしまう。 身が縮まる気がする。 「別に、恥ずかしい事じゃ無いと思うぜ?」 「でも……」 「素直が一番。私のこの服も汚れが目立たないという理由で着ているようなもんだぜ」 「……くすっ」 笑った。 やっぱり、魔理沙は素直だ。 「笑ったな」 「うん。笑った。あはは……」 「笑ったほうがいいぜ。生きているならな」 「そうする。楽しいもん」 しばらくの間、二人は笑い合った。
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