破壊「閉じ篭る日々」

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「……こっち」 フランは手を招く。 四百九十五年間、自分が居た地下にフランと魔理沙は居る。 「本当にこっちで良いのか?」 「大丈夫。ここなら、美鈴はおろか咲夜も来ない」 ゆっくりと地下通路を二人は突き進んで行く。 清掃はしてはいないのか、埃やカビなどがひどい。 途中、魔理沙がふと足を止める。 「どうしたの?」 「いや、ベニテングダケが……」 「べに……?」 キョトンと首を傾げるフラン。 「ベニテングダケ。キノコだぜ?」 「きのこ……? きのこって美味しいの?」 「ああ、最高の食材だ」 「そのべに何とかは美味しい?」 「中々いけるぜ?」 ※摂取すると30-90分程度で、吐き気や眠気、発汗、視聴覚や気分の変化、多幸感、健忘といった症状があらわれる。 より重い中毒では、混乱、幻覚といったせん妄症状や昏睡がおき、症状は2日以上続く場合もあるが、たいていは12-24 時間でおさまる。 医療機関での治療は、胃洗浄がおこなわれる。 解毒剤は存在しない。 「今度私の家で美味しいキノコ料理ご馳走するぜ」 「家……私は、行けるのかな?」 ぽつりと呟く。 しまったとばかりに魔理沙は頭を巡らす。 「だったら、こっから逃げ出せばいいじゃないか」 「魔理沙さんが連れてってくれるの?」 「約束だぜ。その代わり、今からあたしとお前は友達だ」 「ともだち?」 「一緒に遊んだりする仲間の事だぜ。今から、友達だぜ」 「遊ぶ……仲間」 四百九十五年、誰とも接する事無く生きてきた。 表に出た今、踏み出さなくては意味が無い。 出なきゃ、行けない。 「友達、なろうぜ?」 「……うん!!」 その笑顔は、どんなに綺麗な一輪の花よりも輝いて見えた。
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