序章

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「………ねぇ」 「ん?」 「早くどいてくれませんか?」 「なんで?」 「なんでって……掃除機かけているからでしょ」 「此処は後ででいいから。今はとにかくあんまり動きたくない」 「………はいはい」 俺の脇には、掃除をしている女の子がいる。 家族じゃない。彼女でもない。まして親戚のねぇちゃんな訳でもない。 「…休日だからってダラけてるとふやけるわよ?」 カチューシャ、ソックス、少し短めのスカート、そしてメイド服。 まぁ言ってしまったけど、そこで部屋の掃除をしているのは、コスプレしてるんじゃあなく、冗談無しでその職業に着いたメイドだった。 滑らかなクリーム色をしたツインテールの髪を揺らしながら、そのメイドは今度は高い棚の上を拭こうと奮闘している。 「んッ…………」
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