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目の前で自分の作品を誉められ、すごく嬉しいのに恥ずかしい。
誰も私が真崎楓だとは分からないだろうけど、穴があったら入りたい。
「マジ、この帯の言葉とかそそるじゃん?」
やけに私の作品をプッシュしてくれる子が指さす、本についている帯。
そこに書かれている言葉を考えたのも私だ。
『この恋愛小説を、背中に鳳凰を背負うあなたに贈ります――』
………一年前、この作品を仕上げる時。
私はただ一人の事を想いながらキーボードを叩いた。
それが今、こんなにたくさんの人の胸に届いているのだ。
それは私のラブレターをたくさんの人に見られているという事でもあるのだが、不思議と恥ずかしさはない。
むしろたくさんの人に知って欲しかった。
私がどれだけ克也を愛しているか。
それなのに、大きな間違いを起こしてしまった事を。
愛する人を傷つけ、悲しませた私のラブレターを…もっともっと読んで欲しい。
そして、読んだ人には伝わっていて欲しい。
愛する人を失う後悔を。
失う前に諦めずに立ち向かって、その愛を永遠のものにしてくれますように。
私にはそれが出来なかったから。
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