206人が本棚に入れています
本棚に追加
なぜ……?
なぜこんなことに……。
予め罪を赦されている――
そう嘯く者たちが、ありとあらゆる罪を犯しながら、私の愛しい世界を踏みにじっていく。
こんなことが……こんなことが赦されるはずがない!
主がこんな罪を赦されるはずが……。
いと高き主の御名を叫ぼうとした私の口は――
すでに言葉を失っていた……。
声が出ない。
噎せ返るような血肉の臭いと、死体を焼く煙が私の喉を突く。
乾き切った喉からは、裂けるような痛みしか感じない。
絶望に崩折れた私の手足は、泥濘と化したどす黒い血の川に浸った。
誰のものとも知らない腸を、私は握り締め、泣く。
最初のコメントを投稿しよう!