序章《永遠の炎》

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なぜ……? なぜこんなことに……。 予め罪を赦されている―― そう嘯く者たちが、ありとあらゆる罪を犯しながら、私の愛しい世界を踏みにじっていく。 こんなことが……こんなことが赦されるはずがない! 主がこんな罪を赦されるはずが……。 いと高き主の御名を叫ぼうとした私の口は―― すでに言葉を失っていた……。 声が出ない。 噎せ返るような血肉の臭いと、死体を焼く煙が私の喉を突く。 乾き切った喉からは、裂けるような痛みしか感じない。 絶望に崩折れた私の手足は、泥濘と化したどす黒い血の川に浸った。 誰のものとも知らない腸を、私は握り締め、泣く。
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