序章《永遠の炎》

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私は空を仰ぐ。 東の空は、すでに夜の帳を下ろし始めていた。 街を焼き尽くしている炎と黒煙、そして眩い夕陽の光とが混じりあい――まるで臓腑のような空の色。 私は祈る―― この炎が私たちを裁き、焼き滅ぼすというのなら、永遠の炎と化して世界が灰燼に帰すまで燃え続けよ。 哀れな罪人である私たちに、祝福を。 魂の牢獄に眠るすべての怠惰なる者たちに、祝福を。 ―――祝福を――― 隠されし神よ――― 今こそ愚かなる迷い子に、恩寵を与え給え。 かく、あれかし。
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