‡プロローグ‡

4/5
前へ
/79ページ
次へ
そのままの体勢で言う。 綾「用があるなら、出てきたらどうだ?」 低くドスの利いた声に、近くの木の陰からある1人の女性が姿を現した。 ……いや、姿を現した…では語弊があるかもしれない。 その女性は突如現れた霧のようなものに、映り込んでいたのだから。 綾「!」 綾女は一瞬目を見開いたが、ゆっくり警戒を強めながら言った。 綾「あんた…何者だ?」 目を細め睨みながら木刀をかまえる綾女に、その女性は苦しそうにしながら口を動かした。 ???<タ・ス・ケ・テ> 綾「(た・す・け・て……助けて……!)」 綾女は警戒しながら、女性の口の動きから言ったことを推測して驚いた。 綾「おいっあんた、助けてって言ったのか?」 ???<…コクリ> 女性が頷くのを見ると、綾女は眉根を寄せた。 知らない相手に、助けてなんて言われる意味がわからない。 首をひねっていると、声が聞こえた。 ???<ノアクラークを救って> 綾「ノアクラーク?」 ???<貴女にしか出来ないの…お願い> 綾「俺にしか出来ないって、どういうことだ」 意味のわからない言葉のオンパレードに綾女は頭を抱えた。 ???<もう時間が無い…どうかお願い。ノアクラークを…この世界を…救…って…> そう言い終わるか否か、霧のようなものはうやむやに霧散した。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加