一章 紅い雨

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  三人もの武士が何の抵抗も出来ず地に伏した。 流石に、恐怖心が煽(あお)られる。 「全員一斉に斬りかかるぞっ」 一人の指示に従い、残る八人が同時に動き、間合いを詰め、刀を振り下ろす。 八人で行ったのだ。 普通ならこれで終わりだろう。 ガキィィィン つまり、桐生雨月は普通ではない。 全員の上段からの斬撃を受け止めたのだ。 八人が一斉に行くために、攻撃方向が限定されるとは言っても、一人の力で八人の力に対抗しているのは明らかに異常としか言えない。 「馬鹿なっ!?」 そんな月並みな反応などに一ミリも興味を示さず、八振りの刀を強引に押し返す。 余りの腕力に全員がよろめき、雨月がその隙に腹や首に打撃を食らわせ昏倒させた。  
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