兄の思惑

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1週間後、夏は手紙に書いてあった通り、兄の同級生である山本航平(やまもと こうへい)に留守を頼み、出発することにした。 家の前で鍵をかけ、夏は航平の手に鍵を置いた。 「すみません…お忙しい所留守を頼んでしまって…」 「あー いいよいいよ。涼と夏ちゃんの頼みだからねー。家は任せといて!」 航平はへらへら笑って鍵を揺らしながらウインクする。 「ありがとうございます!あ・もうバス来ちゃうんで行きますね。家お願いしまーす!」 夏はそう言って重たそうなキャリーを抱えて急いで駆けていく。 「夏ちゃん…ごめんな…。俺と涼を許してくれ…」 航平は目を伏せると、既に表札も外された名もない家から、静かに立ち去った。
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