兄の思惑

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その後、夏はバスで空港に向かい、アメリカ行きの飛行機に乗った。 やっとのことで席を見つけ、席に着いて置いてあった雑誌を手に取る。 『歌手 結城海(ゆうき かい)が熱愛発覚… はー…この人本当最悪…。何回目よ。』 夏はため息をついて雑誌をバシっと閉じて隣の席へ向かって投げ捨てた。 「あ…」 ドサッ 「うッ!!」 勢いで通路側にまで飛んで行った雑誌は誰かの顔面に直撃した。 「はぁっ!す、すみません…ちょっと手が滑って…。あの…大丈夫ですか?」 夏は急いで駆け寄って 申し訳なさそうに相手の顔を覗き込む。 その人はしかめっ面でサングラスを外しさっと睨んで舌打ちし、何も言わず行ってしまった。 『はっ…何よ、カンジ悪ー…。謝ったのにシカト?おまけにサングラスなんて…。何様よ!』 夏は少しむっとしながら席に戻った。 「すみません…隣いいですか?」 席に着いた途端通路側から声を掛けられた。 「え?…わぁー!すみません!」 すっかり2人分の席を独占していた夏は急いで荷物を片付けた。
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