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朝……眩しい太陽の光がカーテンの間から差し込み、小鳥の囀りによってアリスは目を醒ました。
毛布の中で身を蠢かし、目を擦りながら起き上がる。
「おはよう。アリス」
「へ……?」
さも間抜けな寝惚けた表情で、傍らに座るナイトを見たアリス。
「だ……だれ?」
「誰だなんて酷いなぁ。そっちが呼び出しておきながら、もう忘れたの?」
「……ああ!」
ようやく思い出したアリスは、大声を上げ、ナイトの顔に人差し指を向けて後ずさる。
その様子を見たナイトは苦笑を浮かべた。
「失礼な人だ。人の顔に指を向けるものじゃない」
「ご、ごめんなさい。びっくりしたぁ。やっぱり……夢じゃなかったんだ……」
「夢だと思いたい気持ちは分かる。僕だってそうさ。ともあれ、おはよう」
「お、おはよう……」
朝の挨拶を交わすと、エリックが扉をノックして朝食の支度が出来た旨を伝えた。
すぐに行くとアリスは返答したが、屋敷の皆にナイトのことを紹介する手はずを何も考えていなかったため、どうすればいいのか今更のように考え始めている。
まさかいきなり居候が出来たとも言えるわけがなく、何の脈絡もないので困っていると、ナイトが横から口を出した。
「何なら、昼ごろに出直そうか? 屋敷の皆には、僕が正午に来ると伝えればいい」
「だけど……いきなりそんなことを言って大丈夫かな? 紹介状も何もないから怪しまれるかも……」
「迷うより実行したほうが早いよ。ダメなら、次の手を考えればいい。ほら、朝食が冷めてしまうよ」
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