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ギルドからの任務から自分が住まう街―リーズ街―に帰ってきた少年に待ち受けていたもの。
それは、親友だった幼馴染の姿だった。
幼馴染は、棄てた故郷の村長の息子。今一番会いたくない人。
幼馴染を避けるようにして裏口からギルド内に入る。それから、ギルドマスターに任務完了の報告をしに行く。
ギルドマスターがいる部屋の前でようやく目深にかぶっていたフードを取る。
部屋をノックし「失礼します」と扉を開き、ギルドマスターに会釈をした後に言う。
「おお、ブラッドか」
「任務終了の報告にまいりました」
少年の名は、ブラッド・ベルリオーズ・アイリス。
またの名を『創帝』、『紅月の宵闇』と呼ばれている。
二つ名を知る者は数少ない。
「流石だな、ブラッド。どうだ?魔法の扱いには慣れたか?」
「ええ、大分慣れました。それでは、俺は部屋に戻ります」
ブラッドはギルドマスターの部屋から詠唱破棄で「転移」と呟くと自分の部屋に戻った。
因みにブラッドの部屋は、ギルド内にある開かずの部屋と呼ばれる位置にある。
なので、滅多に人が通らない。だから、己自身も、自室には転移でしか行かない。一度、行った場所にならどんな場所でも転移で行ける。たとえ、周りに結界が張られていたとしても、ブラッドの前では紙切れ同然だった。
自室に戻ると直ぐにベッドに倒れこむ。
ブラッドは追放される前に名付けられた「アリス・クラナード」という名を追放された時点で棄てた。
追放されたのを匿ってくれたのが、ギルドマスターのイヅミだった。そのイヅミについていたのが、リリン・スザク・フランク。
今の名を名付けてくれたのは、リリン。
リリンと出会って、数ヶ月後には、リリンと結婚して幸せに暮らしていた。………が、リリンを俺の不注意で死なしてしまった。未だに後悔だけが残っている。
イヅミは俺の事情を全てわかった上で俺に魔法の扱い方や、武道を叩き込んでくれた。それがあるからこそ、俺は今「創帝」でいられる。
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