異常な日常

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   † 「なるほどね。さっき襲って来たのは吸血鬼で、僕は、助かるために君と契約した。っていうことでいいんだよね」 つい先程の出来事(誰だか知らない奴に襲われて殺されかけていたら、急に閃光が走っていつの間にか助かっていた)について、麒麟の説明を聞かされた後で、自分の中で、自分なりにまとめて、答えを出してみた。 すると 『太陽、お前は、人間のくせになかなか理解力が高いんだな。この場合は、順応性が高いのか。別にどうでもいいんだが』 麒麟はそう答えた。 ここで、分かったことがまた一つ増えた。どうやら、麒麟は人間ではないらしい。 「君の答えにいろいろと言いたいことがあるけど、一先ずそれは置いといて。とりあえず、君の姿を見せてくれないか。この状態だと、独り言を言ってるみたいでなんかいやなんだよ」 『面倒くせぇな。ま、主人の願いだしな。仕方ないから見せてやるよ。だから、目、瞑っとけよ』 麒麟がそう言った直後、あの時よりも更に眩しい閃光が辺り一面に広がった。 「……い、おい、きこえてるのか。聞こえてたら返事しろよ。聞こえてなくても返事しろよ」 誰だ、こんな耳元で、でかい声を出して理不尽なことを言ってるのは。と思いながらも一応返事をしてみると。 「たく、遅ぇよ。ま、いいか。それよりも、早く目を開けてみろ」 僕は、言われるがままに目を開けてみる。すると、そこには、 「……麒麟さんですよね」 「何当たり前のことを聞いてくるんだよ。お前はば……、あっ、なるほどね、そういうことか。予想外だっただろ、この姿」 僕はただ、こく、こく、と頷くことしかできない。なぜなら、そこにいたのは一人の少女だったからだ。 「麒麟って、中国とかの伝説に出てきて、ビールのロゴにもなっているあれのことだよね」 「ビール?ロゴ?よくは分からんが、中国の伝説に出てくるというのは確かだぞ」 ……そういうことらしい。    † 「ただいま」 家には誰もいないがなんとなく言ってしまう。それにしても、家に帰ってきたのがものすごく久し振りに感じてしまう。実際は、1時間程度しか経っていないのだが。 「あっ、おかえり」 「……」 「返事くらいしてよね、太陽。返事がないと結構寂しいんだから。というわけでもう一度、おかえり」 バタン。勢いよくドアを閉める。 何でよりにもよってあいつがいるんだよ。
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