1人が本棚に入れています
本棚に追加
†
「なるほどね。さっき襲って来たのは吸血鬼で、僕は、助かるために君と契約した。っていうことでいいんだよね」
つい先程の出来事(誰だか知らない奴に襲われて殺されかけていたら、急に閃光が走っていつの間にか助かっていた)について、麒麟の説明を聞かされた後で、自分の中で、自分なりにまとめて、答えを出してみた。
すると
『太陽、お前は、人間のくせになかなか理解力が高いんだな。この場合は、順応性が高いのか。別にどうでもいいんだが』
麒麟はそう答えた。
ここで、分かったことがまた一つ増えた。どうやら、麒麟は人間ではないらしい。
「君の答えにいろいろと言いたいことがあるけど、一先ずそれは置いといて。とりあえず、君の姿を見せてくれないか。この状態だと、独り言を言ってるみたいでなんかいやなんだよ」
『面倒くせぇな。ま、主人の願いだしな。仕方ないから見せてやるよ。だから、目、瞑っとけよ』
麒麟がそう言った直後、あの時よりも更に眩しい閃光が辺り一面に広がった。
「……い、おい、きこえてるのか。聞こえてたら返事しろよ。聞こえてなくても返事しろよ」
誰だ、こんな耳元で、でかい声を出して理不尽なことを言ってるのは。と思いながらも一応返事をしてみると。
「たく、遅ぇよ。ま、いいか。それよりも、早く目を開けてみろ」
僕は、言われるがままに目を開けてみる。すると、そこには、
「……麒麟さんですよね」
「何当たり前のことを聞いてくるんだよ。お前はば……、あっ、なるほどね、そういうことか。予想外だっただろ、この姿」
僕はただ、こく、こく、と頷くことしかできない。なぜなら、そこにいたのは一人の少女だったからだ。
「麒麟って、中国とかの伝説に出てきて、ビールのロゴにもなっているあれのことだよね」
「ビール?ロゴ?よくは分からんが、中国の伝説に出てくるというのは確かだぞ」
……そういうことらしい。
†
「ただいま」
家には誰もいないがなんとなく言ってしまう。それにしても、家に帰ってきたのがものすごく久し振りに感じてしまう。実際は、1時間程度しか経っていないのだが。
「あっ、おかえり」
「……」
「返事くらいしてよね、太陽。返事がないと結構寂しいんだから。というわけでもう一度、おかえり」
バタン。勢いよくドアを閉める。
何でよりにもよってあいつがいるんだよ。
最初のコメントを投稿しよう!