異常な日常

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鍵……開いていた。いや、そんなはずはない。鍵はちゃんと閉める癖がついてるし。帰って来た時も閉まってたし。いや、それはきっと美琴が中から閉めたに違いないから。 「中にね人がいたんだよ。それも、すごく綺麗な女の子が。その子、まだ中にいるんだけど。太陽?ねぇ、太陽、聞いてるの」 「あぁ、聞いてるよ。今の話を踏まえて考えると、お前が来るよりも前に誰かが先に僕の家の中にいて、鍵が開いていたからお前は、中に入って鍵をかけたんだな」 「うん。そういうことだよ。太陽から言われた通り無理矢理鍵を開けるようなことはしなかったよ」 それでも、立派な犯罪なのだが…… 美琴のことは一応解決した。なので、次に解決すべき問題は、美琴より先に僕の家に入っていた人物についてだ。美琴の言い分が正しいならば、その人物が犯人(?)になるというわけだな。そうと分かれば、入るとするか。 そして、家に入ろうとすると、中からどこかで聞いたことのある声がした。 「お前たちうるさいぞ。時間も場所も考えずに。一体何時まで騒いでいれば気が済むんだ」 そして中から、つい先程別れたばかりのお方がいらっしゃった。横を見ると僕に対して、『ほら、言った通りでしょ』的な視線を美琴が向けているのだった。 そんなことは置いといて一つの疑問が脳裏に浮かび上がってきた。 「麒麟さん、何であなたが僕の家に不法侵入さながらのことをしながらも堂々といらっしゃっるのですか」 「いやいや、何でってそんな冗談言うなよ。ここは、お前の家だろ。だから、私がいるんだよ。普通に考えたら分かることだろ」 麒麟さん、あなたは何を言っているのですか。普通に考えていたらそんな結論にたどり着くことなど天地がひっくり返ってもおきないだろ。 そんな無茶苦茶なことを言われたので恨みを込めて睨み付けた。 「おいおい、そんなに睨むなよ太陽。お前、もしかしたら視線で生き物を殺せるんじゃないのか。分かったよ。ちゃんと説明するよ。太陽、お前は私の契約者だろ。そして、ここはお前の家なんだろ。だから、私はここにいるんだよ。分かったよな。もうこれ以上の説明はしないからな」 ……何かもう、どうでもよくなってきたよ。横から美琴が何か言ってるけど、そんなもん僕は知らない。どうせ、麒麟との関係について問いただそうとしてるだけだし。
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