見知らぬ来訪者

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「がっ……!」 右腕を撃ち抜かれた。 それまで掠るだけだったそれが、初めて命中した。灼けるような耐え難い痛みに、のたうち廻りたい衝動に駆られる。 まだだ、まだ左腕がある。 炎剣の生成とまではいかないが、魔力の塊をぶつけるくらいなら間に合う。 「くっ…!?」 それすらも読まれたか、或いはこれで決めるつもりなのか、女は今までで最速の銀の弾丸を射出した。矢のような風切り音を発して放たれるそれは、もはや人間の投擲の範疇を超えている。おそらくは必殺、命中すれば間違いなく躯を二分されるだろう。 今度は反射を使っての攻撃は無い。ただ一直線に、腕ではなく頭を狙った投擲。 間に合う。あとはただ、前方へ渾身の魔力を奔らせる―――――! 「――――ちィっ!」 手のひらの前で、火球が弾ける。咄嗟の対応だったが、銀とはいえただの金属を溶かすには十分だった。 音も無く、ナイフは消滅した。 やった。 これでひとまずの危機は脱した。 私は安堵の息をつこうとし―――――――ふと、口端から、一筋の紅が流れていることに気付いた。
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