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「―――夢を、見ていた」
「はあ」
「咲夜と初めて出会ったときのこと」
「あの頃は、妹様はやんちゃでしたね」
「咲夜も言えないじゃない。主の妹に向かってナイフ投げる?普通」
「あれはごっこ遊びだったので。その辺は大目に見てください」
「……遊びじゃなかったら何を持ち出すの?」
「ワスプナイフですわね」
「やっぱりナイフなんじゃない」
私はけらけらと笑った。やっぱり咲夜はおもしろい。
「そういえば、結局罰は下ったの?」
「ええ。時間には間に合いましたが、妹様と遊んでいたのがお気に召さなかったようで」
「自分で寄越しといて勝手な……それで、どんな罰が下ったの?」
「紅茶を飲まされました」
「……へ?それだけ?」
「私は猫舌なのです。いつもは時間操作で温くしてから飲むのですが……」
「熱いまま飲まされた、と」
「ええ、ちょっぴり恥ずかしかったです。お嬢様はニヤニヤしておりましたが」
残念、それは私も見たかったかも。
「くすくす、咲夜にも弱点があるのね」
「人の子ですから」
咲夜も笑った。
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