見知らぬ来訪者

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「失礼します」 コンコン、と乾いたドアの音が響く。 わずかだが、いつものノックと少し違った。 「……誰?」 「十六夜咲夜と申します」 鈴を転がしたような声だった。ドア越しだというのに、よく聞き取れる声だった。 「十六夜……?随分と変わった名前ね。アイツが名づけそう」 「今は、そう名乗っております」 「? 偽名?」 「入ってもよろしいでしょうか?」 「え? ああ、どうぞ」 キィ、と音を立てて開かれるドア。 今までと違う開き方だ。恐れがない。とすると、やはり新人だろうか。
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