22人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「失礼します」
コンコン、と乾いたドアの音が響く。
わずかだが、いつものノックと少し違った。
「……誰?」
「十六夜咲夜と申します」
鈴を転がしたような声だった。ドア越しだというのに、よく聞き取れる声だった。
「十六夜……?随分と変わった名前ね。アイツが名づけそう」
「今は、そう名乗っております」
「? 偽名?」
「入ってもよろしいでしょうか?」
「え? ああ、どうぞ」
キィ、と音を立てて開かれるドア。
今までと違う開き方だ。恐れがない。とすると、やはり新人だろうか。
最初のコメントを投稿しよう!