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「本業のほう、訊いてもいいかしら?」
「メイドですわ」
「嘘」
言葉を遮り、真正面からその双眸を射抜いて言ってやった。
女は表情ひとつ変えない。
ここまできてまだその態度を保つか。本当に人間か疑わしくなってきた。
「貴方から血の匂いがプンプンするのよ、それも噎せ返りそうなほどに濃厚な」
「人間ですもの、血くらい通いますわ」
「まだとぼける気?それ、貴方の血じゃないでしょう」
「はて、何のことでしょう」
女は口許にうっすらと笑みを浮かべながらその細い首を傾げた。
――――面白い。その余裕、いつまで保てる?
「ねえ、ちょっと私と遊ばない?」
「構いませんが……トランプ、おやりになりますか?」
あくまでシラを切る気か。視線だけはこちらを見据えながら、器用にカードをシャッフルしている。
「そうじゃないわ。私がやりたいのは」
わかりきったことを。どうしても私に言わせたいらしい。
この世界には、一番手っ取り早い決闘方式があるじゃないか。
「―――弾幕ごっこよ」
もっとも、決闘と呼べるものになるかはわからないが。
私を侮ったこと、後悔させてやる。
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