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車は三車線の大きな通りに入り、赤信号で止まった。
「そういえば、どこに向かっているんですか?」
「うーん。ね、どうしよっか」
と、彼が困ったように笑う。
まさか目的地を決めずに車を走らせていたとは。
「廣瀬さんは いつもどんな所に遊びに行くんですか?」
「正悟でいいよ。基本的に一人だから、よく行くのは映画かな」
「一人で?」
と若干 失礼なことを尋ねると、彼は苦笑いで答えた。
「俺さ、隣でポップコーンとか食われんの苦手なんだよね」
「!」
(おんなじだっっっ!)
「わ、わた、私もです! 集中できないですよね、食べる音とか匂いとか。しかも『食べる?』とか聞かれたら、もう最っっっ悪」
「あはは。そうそう、話しかけんなよってな」
(……一緒だぁ)
意外な共通点が見つかり、つい頬が緩んでしまう。
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