3.急接近

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  車は三車線の大きな通りに入り、赤信号で止まった。 「そういえば、どこに向かっているんですか?」 「うーん。ね、どうしよっか」 と、彼が困ったように笑う。 まさか目的地を決めずに車を走らせていたとは。 「廣瀬さんは いつもどんな所に遊びに行くんですか?」 「正悟でいいよ。基本的に一人だから、よく行くのは映画かな」 「一人で?」 と若干 失礼なことを尋ねると、彼は苦笑いで答えた。 「俺さ、隣でポップコーンとか食われんの苦手なんだよね」 「!」 (おんなじだっっっ!) 「わ、わた、私もです! 集中できないですよね、食べる音とか匂いとか。しかも『食べる?』とか聞かれたら、もう最っっっ悪」 「あはは。そうそう、話しかけんなよってな」 (……一緒だぁ) 意外な共通点が見つかり、つい頬が緩んでしまう。  
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