3.急接近

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  「こんなこと考えてんの、俺だけかと思った。よく友だちに変なやつって言われたし」 「えー」 「坂月さんも変わってるって言われない?」 「私も未歩でいいですよ。 変わってるっていうか……映画の世界観に浸りたいって話をしたら、必ずといっていいほど『頭の中もお花が咲いてそうだもんねー』って言われます」 「はは、なんか納得」 「え、納得っ?」 「ごめん嘘。…ははっ」 「……ふふっ」 彼がまた笑うので、つられて笑ってしまう。 こんな調子で、二人の会話は途切れることがなかった。 未歩はふと、あることに気がついた。 (この人、パパに似てるかも) パパとはもちろん父の事だ。 車の好みもそうだが、運転中のしぐさや会話の間の取り方など…… 小さなところに共通点がある。 そういえば。 『もし恋をするなら、パパのように優しくて、包容力のある人がいいな』なんて。 いつからか思っていた。 ……恋、か。 そんなことを考えていると、たまたま彼と目が合ってしまった。 刹那、ドキッ……と、高鳴る鼓動。 胸をわしづかみにされたような感覚に、戸惑いを隠せない。 不自然に目線をそらした自分に、彼は気づいただろうか。  
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