8830人が本棚に入れています
本棚に追加
/671ページ
辿りついた先は、映画館が入ったアミューズメント施設だった。
カラオケやボウリング、ビリヤードにマンガ喫茶、ゲームコーナーなどもあったが、未歩たちが向かったのは映画館。
けっきょく「似た者同士で映画でも見るか」ということになったのだ。
ここでも二人は息が合い、同じ作品を選んだ。
「次は午後からか……。先に昼メシでも食べる?」
しかし腕時計を見ると、まだ11時過ぎだ。昼食にはまだ早い。
二人は昼食の時間まで、ゲームコーナーで暇を潰す事にした。
日曜日のせいか、親子連れの姿が多い。
「わっ。ごめんなさいっ」
「おう、気をつけてなー」
ドン、と勢いよくぶつかってきた子どもに、くしゃっと笑顔を見せる彼。
子どもに慣れてるのかな、と感じた。
「正悟さんって兄弟いるんですか?」
気がつけばこんな質問をしていた。
「いや、居ないよ」
「そうなんだ。なんだか小さい子のお世話に慣れてそう」
「あー。……まあ、ね」
「?」
「いや、未歩ちゃんは? 兄弟」
「え。あ、私も一人っ子です」
「そんな感じ」
と微笑む彼を見て。
……はぐらかされた?
と、感じた。
最初のコメントを投稿しよう!