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『性的虐待』という言葉を浩太が知ったのは、正悟が入院している病院で、浩太の母親が警察官と話をしている時だった。
あの日も母親にいつものように暴力と性行為を強いられていた正悟。
そこに運悪く父親が戻り、二人の関係を知った父が逆上したのだという。
父親と母親は、正悟を養子に迎え入れてから夫婦関係が悪化しており、父はたまにしか帰らなかった。
会社と家庭を必死に立て直そうとしていた母親は精神的に病んでいき、従順な正悟に歪んだ愛情を抱いた。
その歪つな関係は2年に及んだ。
その事実を警察から聞いた浩太と浩太の両親は、正悟の退院後の世話を買って出た。
正悟は約1年もの間 浩太の家で世話になり、精神科に通いながらゆっくりと心の傷を癒す事に専念ができた。
施設に戻ってからも、浩太の両親はたびたび正悟の様子を気にかけてくれた。
『いつでも一緒に暮らそう』
『本当の家族のように甘えていいんだよ』
『養子でなくても、せめて里子に』
『せめて後見人に』
浩太の親は、会うたび申し出てくれたのだ。
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