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夜の9時をまわった時、車は未歩のアパート前に到着した。
助手席に座ったまま、未歩はぺこりと頭を下げた。
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ。遅くまでゴメンな。明日学校だろ?」
「大丈夫です、午後からだから」
「うらやましー」
笑い合った後、ふと視線が絡み合う。
そして、沈黙が訪れた。
「――――……」
……ドクンッ。
心臓が激しく波打って、息をするのも忘れてしまう。
彼の瞳の奥に引き込まれていくようで、目をそらせない。
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