3.急接近

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  次の瞬間、彼はふっと静かに微笑んで、 「また連絡するよ」 とだけ言った。 かくかくと頷いて、まだ高鳴る胸を落ち着かせながら助手席からおりた。 その時。 「未歩ちゃん」 「え」 すぐに助手席の窓が開き、 「これあげる」 と、彼がある物を投げてきた。 「ええっ?」 慌てて受け取ると、それは中身が数本入った煙草の箱だった。箱の中にはシルバーのジッポライターも入っている。 「これ…」 「完ぺきに禁煙できたら、約束守ってな」 そう言うと彼は運転席に座り直し、車を発進させた。 (――――聞こえてた!) 昼食での会話が甦ると同時に、 急速に鼓動が速まっていく。 走り去った車が見えなくなるまで、ただ……ただ、そこに立ち尽くしていた。 「……キスされるかと思った」 部屋に戻るなり、勢いよくベッドに倒れこむ。 帰り際の車内で、真っ直ぐに自分を見つめていた彼の瞳を思い出した。 「出会ったばかりなのに……」 まだ、胸のドキドキはおさまりそうもない。  
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