4.恋

2/17
8826人が本棚に入れています
本棚に追加
/671ページ
  あの人とのデートから3日が経った水曜日。 未歩と明美は時子の家を訪れていた。 「あっ、未歩ちゃん。いらっしゃい」 「浩太の家じゃないでしょーが」 先に来てくつろいでいた浩太を、時子がぽかりと殴った。 「浩太さんって学生さんでしたっけ。今日は早いんですね」 「未歩ちゃんが来るって聞いたので、早めに帰って来ちゃいましたー」 と、浩太がニッコリ笑う。 どうやら彼はお調子者らしい。 「あはは、そうなんですか。大学6年って、大学院とは違うんですか?」 と軽く笑いながら尋ねると、「流されたー」と彼がまた笑った。 「まぁ、医学部だからね」 「すごーい! 浩太さん、お医者さん目指してるの!? 超意外!」 「てめ、明美。なんつった今」 明美と浩太のやりとりにクスクス笑っていると、時子が言った。 「こう見えても、頭いいのよー。浩太のご両親も歯医者さんなのよね」 「へー、ますます意外!」 「おいこら明美。縫うぞ、その口」 「きゃはは、お医者さんっぽい!」 「うまいこと言ったつもりか」 浩太が明美にチョップして、部屋は笑いに包まれた。  
/671ページ

最初のコメントを投稿しよう!