4.恋

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  「あれ、でも歯科学部じゃなくて医学部なんですね?」 と、小さな疑問を口にすると。 「うん。俺、うちの歯科医院は継ぐ気ないんだ。従兄弟が継いでくれるって言うし」 「どうしてですか?」 「秘密! 口で言うより、まずは実現だもんな」 そう笑いながら、浩太はタバコを取り出した。 (あ、正悟さんのと同じ……かな?) そう認識したとたん、日曜日のデートを思い出し、胸に熱いものがこみ上げる。 (また……逢いたい、な) 浩太や明美のテンポの良い会話が進んだが、気がつけばぼうっと彼のことばかり考えてしまうのだった。 「……だよな、未歩ちゃん」 「えっ?」 「またボーッとしてる。今週入ってから未歩おかしいよー?」 明美が心配そうに顔を覗き込んできた。 「そっ、そんなことないよ。えっ、と。なんかピアノ弾きたくなっちゃって。うん、帰ろうかな」 「あたし、ユウちゃんが来るから待ってるけど。 一人で帰れる?」 「大丈夫」 と答えて立ち上がると、 「じゃー俺も帰ろ」 あとに続くようにして浩太も立ち上がった。  
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