4.恋

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  浩太の車が見えなくなるのを確認し、あの桜並木へ足を運ぶ。 いつものテーブルには先客がいたようだ。 買い物袋をテーブルに置いて、休憩をしている おばあさんだった。 (帰ろうかな) と思ったが、もう少し歩いた所に同じ丸太のテーブルがあるので行ってみることにした。 (良かった、ここは空いてる) 誰もいない丸太のテーブルにつく。 桜の香りを感じながら、バッグからルーズリーフを取り出した。 もくもくと五線譜に音符を載せていく。 ふわっと暖かな風が吹き、桜の花びらが手に止まった。 ――――『よく髪に止まるな』 花びらを取ってくれた、彼の声を思い出す。 (……逢いたい) そう思った時、不思議と良いフレーズが浮かび上がった。 こうして五線譜のルーズリーフが3枚目にうつった時だった。 携帯電話が鳴って、胸がドキッと高鳴った。 『廣瀬 正悟』  
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