4.恋

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  もちろんすぐに電話に応じる。 「はいっ」 「作曲、進んでるー?」 電話の向こうから、笑ったような声が響いた。 「えっ?」 「今日は違う席なんだな。会社の休憩所から見えてるよ」 「うそっ」 キョロキョロ周りを見渡した。 車道の向こう側にはビルが建ち並んでいる。 このどれかに、彼のいるビルがあるのだろうか。 「どのビルですか?」 「水色のー。7階」 目を凝らしてそれらしき建物を見ると、開いている窓を発見した。 彼らしき人が小さく見え、嬉しさ余って片手をぶんぶんと振った。 「いたー!」 「見えてるって」 と、彼も笑いながら手を振り返してくれた。 「今夜また連絡してもいい?」 「は、はい!」 「じゃ、またな」 と、電話は切れ、窓が閉まり人影が見えなくなった。 「……帰ろ」 気持ちが浮ついて、もう作曲どころではない。  
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