4.恋

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  暗闇の中をライトで照らし、走り続ける車は、いつもと違って小さな静寂が守られていた。 不思議とその沈黙が心地良い。 ちらりと運転中の横顔を見つめた。 赤信号で車が停車する。 視線に気づいたのか、彼もこちらに視線をうつした。 とくん……と。 胸の音がひとつ。 暗がりの車内を、外からこぼれる明かりが照らす。 影を落とす彼の顔がふわりと微笑んだあと、ゆらりとこちらに揺れて。 未歩はキュッと目を閉じた。 ……ポンッ 「っ?」 突然の、頭の上の感触に。 驚いて目を開けると、彼の手が自分の前髪を撫でていた。 互いが視線を絡めて、わずか数秒。 彼はその手をハンドルに戻すと、車を発進させた。 信号は青。 しだいに頬の温度が上がっていくのを感じ、それを隠すために外の景色を眺め続けた。  
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