4.恋

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  「正悟さんの前だとすっごく心臓がドキドキして止まらなくて、息をするのも苦しくて……でも、それなのに」 震えた自分の手をギュッと握りしめ、勇気を振り絞った。 「それなのに、ずっと一緒に居たいって思っちゃうんです!」 震えているのは体じゃなくて、自分の心なのかもしれない。 「教えて……ください。これが、『恋』なんですか? 私は正悟さんが好きなんでしょうか? 間違ってませんか?」 下を向いて目を閉じると、涙がポロポロ落ちてきて。 呼吸が苦しい。 彼の返事が……怖い。 風が涙で濡れた頬を優しくなでていく。 一歩。足音が聞こえて。 また一歩、静かに近づいてくる。 やがてその足音は自分の目の前で止まった。 おそるおそる目を開けると、彼の革靴が見えて。 小さな勇気で顔を上げる。 すると彼は照れ臭そうに微笑みながら、こちらを見下ろしていた。 「……ばか」 という言葉とともに、視界が急に変わって。 全身を包み込む温もりに、また彼に抱きしめられたのだと知った。 「なにその告白」 「っ…」 「照れるし」 「…………」 耳元で囁く彼の言葉がくすぐったくて、息のしかたも忘れるくらい、苦しくなった。 けれど、彼はもう自分を放さない。 これが彼の答えなのだ、と知った時。 涙が溢れ出た。  
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