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「俺、てっきり未歩ちゃんは経験豊富なのかと思ってたよ」
「経験豊富? どこが?」
暖かい車内。
運転中の彼の言葉に、驚きを隠せない。
二人はあれから港を後にして、帰路につくことになった。
今はその帰り道である。
「だって会ったばっかりなのに、すぐに遊びについてくるし。……なんか、そーゆー雰囲気になったりするし」
「っ」
そういう雰囲気、という言葉に何度もキスされそうになったことを思い出し、慌ててそっぽを向いた。
「ほ、他の人となんか絶対しません! それを言うなら正悟さんだって」
「はっ? だ……だからっ、何度も自制しただろーが」
「……」
「…………」
「ふふっ」
しどろもどろになって弁解する彼がなんだか可愛いくて、つい笑ってしまった。
外の景色を眺めると、遠くに高速道路の光が見えた。
夜の闇にも負けない光はキラキラ輝いていて、
これから先 何があっても、この光を覚えていようと思った。
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