プロローグ

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   過去を振り返り出すと年寄りだとか、店に来るお客さんの誰かが言っていた。  年寄りの年齢が何歳からを指すのか微妙だけど、少なからず若者とは呼ばれづらい年齢になったのは確かだ。  ほんの3、4年前の事だがオレの中で濃密な時間だったから、何かにつけて思い出してしまう。  生活圏が変わらず、付き合ってる人間も変わらないから、余計に思い出させるのだろうな。  思い出話しもするから当たり前だ。  当時の2年間は、自分でもドラマの主人公な気分で、今思い出すと恥ずかしい事も言っていた。  何かに、酔いしれていたのかもな。  キャバクラへ行き、ある女の子と出会って付き合う事になり、互いの心の傷が事件を引き起こしたりもした。それだけでも、濃い毎日だった。 「ねぇ、直樹。酒屋さんに、ジーマとコーラって追加で頼んどいてくれたよね?」 「あぁ、さっき電話で追加しといたよ」 「そっ、ならいいけど」  その女の子がオレの嫁、ちひろだ。  3年前にこの店をオープンする直前に、ちひろと結婚したが未だに子供は授かってない。  ちひろは、オレの前に付き合っていた男に傷つけられ、男性恐怖症になり男から触られると体調が悪くなる。  まぁ、以前のオレ達はもっと酷かったけど。
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