10人が本棚に入れています
本棚に追加
自分の胸の鼓動が早くなっていくのがわかる。頭の血管も普段感じることのないくらい、脈打っている。
佐々木の身に危機が迫っている。直観的にそう感じた。
一段目にかけた足を戻し、すぐさま下の階段を二段飛ばしで駆け下りる。
「うああああああ!!あああああああ!!!」
佐々木の叫び声が近づいてくる。もう一階下に佐々木はいるようだ。
最後の階段を四段とばして飛び降りた。衝撃が足にきて少し痛いが、そんなことは言っていられない。
階段の脇にあった錆びたドアを乱暴に開ける。そして叫びを頼りに、佐々木がいるであろう場所へと急ぐ。
だんだんと声が大きくなり、壁の向こう側だと確信できた。
周囲を見渡すと半開きになっているドアがある。
俺の緊張は最高潮になっていたが、気力を振り絞りそのドアを蹴り飛ばし、中に突入した。
最初のコメントを投稿しよう!