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ガダーン
ドアは大きな音を立てて部屋の内側へと吹き飛ぶ。俺は即座に部屋の中へと体を滑り込ませた。
ドアが吹き飛んだ風で蝋燭の灯火が揺れ動く。
部屋は薄暗い。壁紙は無くコンクリートが剥き出しだ。
俺が端目で捉えただいたいの数だが、灯りは数百本にのぼるであろう蝋燭だった。
そして、天井近くには神棚のようなものが設けられている。
「ひっ…ひっあっ…あああああああああああああ」
案の定そこには顔を真っ青に染めた佐々木が壁に寄りかかっていた。
恐怖に叫び狂う。佐々木の服の一部は破け、また、至る所に血が滲んでいた。
俺は、すぐに彼に駆け寄った。
「おい…佐々木!!佐々木!!大丈夫か!!」
しかし、彼の目は前方一点しか見つめておらず、俺の問いかけには全く応じようとはしない。
「かき…き…くっるくるなあくっるくる、来るな来るな来るなー!!あっ…あああ…ああああー」
佐々木は体中を震わせ汗だくだ。その歯はガチガチと音を鳴らし、目は血走っている。
しかし、不思議なことに、実際この部屋には俺と佐々木以外の誰もいなかった。
なのに佐々木は誰もいないはずの場所を見て恐怖を感じているようだった。
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