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ドガンッ………!
深夜の街に粉砕音が響く。
俺のすぐ右後ろのブロック塀が砕け散り、破片が地面を叩いた。
「っ!」
だが、足はゆるめない。
ゆるめてはいけない。
冷たい夜の風を切り、俺は走る。
このままの速度じゃ、じきに追い付かれる…
少しでも距離を稼ごうと、右に曲がった。
むこうも、それにぴったりついて来る。やってられない。
鋭い音がして、俺の後ろの舗装された道路が砕け飛んだ。
それに続き、次々と地面が削れていく。
本能と理性は逃げろと叫び、体はここで終わりたい、と諦めかける。
駄目だ、諦めてたまるか。
もつれそうになる足に鞭を打ち、前へ前へと踏み出す。
ここで立ち止まる事、それは死を意味する。
嫌な予感
俺は慌てて、姿勢を低くした。
空気を切る音としてはあり得ない大きさの音で、俺の頭があった場所が、切り裂かれる。
髪の毛がいくらか持ってかれる。
頭がついてるだけましだ。
距離が近い…
俺は急いでペースを上げた。
約束の時間まで、あと20分しかない…
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