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家を出てから15分。繁華街の、とある廃ビルの屋上へと俺は向かっていた。
夜空にネオンのカラフルな光が輝き、繁華街は夜特有の活気に満ち溢れている。酒に酔いつぶれたサラリーマンや、艶やかな服装をした水商売の女など実に様々人種が行き交う。
そんな中、一高校生であった俺は明らかに浮いていたのかもしれないが、特に気にはならなかった。
「兄ちゃん、ウチで遊んでいかないかい?」
チャラい格好をした若者が寄ってきた。その手には、裸婦の描かれた広告が束ねられている。
「いえ、急いでいるので結構です。。」
俺は丁重に断り、若者の前を通り過ぎた。若者は次の客、次の客へと、声を掛けて続けてゆく。
暫く繁華街を歩くと、待ち合わせ場所の廃ビルへとたどり着いた。しかし、そこ周辺は同じ繁華街の一部にも関わらずどこか閑散としている。照明はどこか暗く異質な雰囲気。恐怖心か何か俺には分からないが、本能がこの場所を嫌っていた。
ゾクゾクゾク
急に背中に寒気が通り抜ける。俺は廃ビルの上の階から、何かベッタリと張り付くような視線を感じた。何かが俺を上から見ている。これは確信できた。気持ちが悪い。気分が悪い。
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