578人が本棚に入れています
本棚に追加
/292ページ
春語り
11番線にー、桜ノ宮行きの電車が入ります。
『おかーさん、早く!早く!』
5,6歳と見られる少年は初めて乗る電車に興奮して、まだ来ていない電車へ向かい、駆けていく。
『まってよー。そんなに急がなくても間に合うわよー!』
『えへへ!』
満面の笑みで駆ける。……足下も見えないくらいに。
『あ!?』
つまずいた。…ドン。何か自分より大きいものにぶつかった。
プァーン。電車が来る。少年はその何かと目が合った気がした。
その目は…、優しさと、悲しみに溢れていた気がした。
最初のコメントを投稿しよう!