春語り

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春語り

11番線にー、桜ノ宮行きの電車が入ります。   『おかーさん、早く!早く!』   5,6歳と見られる少年は初めて乗る電車に興奮して、まだ来ていない電車へ向かい、駆けていく。   『まってよー。そんなに急がなくても間に合うわよー!』   『えへへ!』   満面の笑みで駆ける。……足下も見えないくらいに。   『あ!?』   つまずいた。…ドン。何か自分より大きいものにぶつかった。 プァーン。電車が来る。少年はその何かと目が合った気がした。 その目は…、優しさと、悲しみに溢れていた気がした。
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