春語り

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西暦2098年。22世紀にもう少し。だけどそこには、かなり前の国民的アニメの主人公の姿は見えなかった。……いや、見せようともしなかった。地球温暖化。国際問題。伝染病の拡大。人類はこの様な問題をなんとか乗り越えてきた。とてもロボットなど造る余裕なんて無かった100年だった。…100年前と今は、大して変わりはない。 ……そんな感じの授業だった気がする。春の暖かい子守唄と必死に闘いながら小春は授業に取り組んでいた。……道と策は2秒で春の暖かさにKOされた。   「ちょっと、道。起きなさいよ。」   小春が隣の席の道に小声で起きろとうながす。   「う、うーん……は!?」   道が目を覚まし、大声で叫んだ。   「先生!」   「な、なんですか?」   世界史の教師、安藤 楓(あんどう かえで、♀)が少しびっくりして聞き返した。   「俺のバナナは……。先生のおやつになりますか……?」   「……廊下に立ってなさい。」   「…、ごめんなさい。」   と、道は素直に廊下に行く。教室のみんなは爆笑した。 ……昼休み。   「ひゃっほう!みんな大好き、弁当の時間だぜ!」   と、策が言うと道が   「はぁーあ、俺が食べたい弁当はもっと綺麗なんだ。わかるかい?ジョニー(策)」   「オー!マイケル!(道)その弁当ってのはなんなんだい!?教えてくれよ!」   「知りたいのかい?仕方ないなぁ。教えてやるよ。それはね…。」   「なんなんだい!?マイケル!じらさないで教えてくれよ!」   「それは、女の子さ!」   「オー、マイケル。君はなんてプレイボーイなんだ!」   「いいから、とっとと食えぇぇぇぇ!」   二人のアメリカンジョーク的な漫才に小春がたまらず突っ込みをいれる。しかし、二人の勢いは止まらなかった…。   「オー、マイケル。君のガールフレンドはすごく騒がしいんだね。」   「そうなんだよ。ジョニー。いつもこれじゃあ、僕の耳にオクトパスが出来てしまうよ。」   「「Hahahahahahahahahahahahaha!!」」   次の瞬間。小春の目の前の二人の少年は宙を舞った。   麗いわく。その時の二人の飛ぶ軌道は、スラムダンクの三井の3Pシュートを連想させるほど、綺麗な曲線だったと言う。
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