空を見上げて

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ミーン ミーン 「暑い…」 月日は六月。照り付ける太陽が少年の体力を奪っていく。 少年の名前は「坂下 好輔」。今日から桜坂高校に通う高校二年生。両親が事故で他界し、親戚に引き取られ今はアパートで一人暮らしをしている。 桜坂高校はその名の通り、桜の木が並ぶ坂道の上に校舎がある学校。 今は桜は散り、緑の葉を付け、少し早いセミが鳴いている。 時刻は8時48分。ホームルームが始まるのは8時50分だが、いろいろ転校の手続きがあるため、まず職員室に行かなければならない。だからホームルームには出ず一限目からの出席となる。 ちなみにホームルームの時間を知っているのは先日、教科書やら上履きやらを貰いに学校に行ったとき、ある程度の説明を受けたため。 なのでこの時間、この坂を歩いているのは好輔以外誰もいない──── 「はずだよな」 前方には、小さくしゃがみ込んでいる女の子がいた。 桜坂高校の制服を着ているので、生徒ということがわかる。
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